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保存建築

東京駅前広場に誕生した新たなランドマーク「JP タワー」に

LIXILリニューアル の技術が複数採用される

旧東京中央郵便局舎のタイル、窓から先進的な超高層ビルのカーテンウォールまで、
LIXILリニューアルの技術が生かされる

JP タワー

日本郵便株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、三菱地所株式会社が、旧東京中央郵便局敷地に共同で建設した高層複合施設ビル「JPタワー」(2012年5月31日竣工)において、保存部分である旧東京中央郵便局舎のタイル・窓の復原工事から、オフィス棟の高い快適性と環境負荷低減を両立させたカーテンウォール・節水トイレ、商業施設の特殊ガラス手摺まで、LIXILリニューアルの技術が多方面で採用されました。

 「JPタワー」は、地下4階、地上38階、高さ約200m、延べ床面積約212,000m²の高層複合施設ビルで、日本郵政グループ不動産事業の第1号の大規模案件です。建物高層部は、ガラスカーテンウォールによる先進的なデザインのオフィスとしながら、建物低層部は、旧東京中央郵便局舎を一部保存し、東京駅前地区の風格ある歴史的なデザインを継承しています。
また地下1階から地上6階までは商業施設「KITTE」(キッテ)(2013年3月21日オープン)となっており、東京駅丸の内駅舎復原で、さらに脚光を浴びる丸の内エリアの新たなランドマークとして注目を集めています。

■JPタワー概要
  • 所在地:東京都千代田区丸の内二丁目7 番2 号 
  • 事業主:日本郵便株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、三菱地所株式会社 
  • 設計監理:株式会社三菱地所設計 
  • 提携建築家:ヘルムート・ヤーン 
  • 商業施設内装デザイン:隈研吾建築都市設計事務所  
  • 施工:大成建設株式会社 
  • 階数:地上38 階・地下4 階・塔屋3 階 
  • 高さ:約200m 
  • 敷地面積:約11,600 m²(約3,500 坪) 
  • 延べ床面積:約212,000 m²(約64,000 坪) 
  • 竣工日:2012 年5 月31 日
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保存建築の流れについて

JP TOWER×LIXILリニューアル 復原プロジェクトを通じて

1.保存か復原かを検討

2008年7月、設計事務所からLIXILリニューアルに調査の打診がありました。ただちに現地調査を行い、既存サッシの一部を取り外し、分解して状態を確認しました。劣化の進み具合は部位により様々で、部分的に使用できる部材・部品もありましたが、全般に枠周りは錆の進行が著しく再利用できる状態ではありませんでした。

JP タワー

既存サッシの障子材はスチールの押し出し形鋼を用いたもので、この時代としては一般的なものです。ただ、3連1ユニットで、幅3.9m×高さ4.4m、見込みが170㎜、方立見付けが170㎜と大きなサイズでした。

当時のサッシは鋼材に錆止め塗装を施し、オイルペイントで仕上げていました。 創建当時から調査時まで何度か表面が再塗装されていることも分かりました。
創建当時の色を再現する為に何層も塗られた色の中からオリジナルの色を限定する作業に手間がかかりました。 このような調査報告をもとに、保存や復原の方向性を検討しました。修繕してそのまま残す案もありましたが商業施設+オフィスという建物の性質上、最新の機能・性能が必要でした。
古いサッシのディテールと現代の建物に求められる性能を両立するのが難しく、郵便局の北側部分7か所と西側部分2か所の障子を除き、そのまま残すことは断念しました。
こうした作業を進めている2009年の夏、正式発注となり、抜き取り調査、全数検査と検討を進めていきました。2010年の1月には復原の方針も定まり、サンプルの制作が始まりました。

2.アルミサッシによる復原

サンプル制作にあたり、復原の仕様を決めていきます。まずは素材を決めます。創建当時のものはサッシの障子も枠もスチール製です。復原するサッシは、耐候性と意匠性を重視し、障子はアルミ製、枠はステンレス製という仕様になりました。
また、ガラスは既存3~4㎜厚の単板ガラスから、6㎜+A6㎜+6㎜厚のペアガラスに変更しました。
開閉形式も上げ下げ窓からFIX窓に変えています。 復原に際しては、障子の素材の違いに苦労しました。前述したように創建当時のものはスチールの押出し形鋼でしたが現在はその製造設備がありません。
スチールで作ろうとすると溶接で形鋼を作ることになり、莫大なコストがかかります。
そこで、素材をアルミに変更した上で、ディテールは創建当時のものを再現することになりました。 創建当時の納まりに揃えるという点で大変だったのが、ガラスをペアガラスしたことでサッシの見込み寸法が変わってくることです。
創建当時のサッシ形状及び納まりにできる限り近づけるために、古い図面と新規の図面を重ね合わせて、何度も図面を書き直しました。現代の生産設備と技術で可能な限りの再現性を追求しました。
枠の素材もアルミを検討しましたが、最終的にステンレスに決定しました。創建当時は、鉄板を手曲げしていたため、大きなRが出るのが特徴なのですが、この大きなR形状まで忠実に再現しています。
創建当時の意匠、ディテールを忠実に再現するという設計者のこだわりに応えるかたちで、障子の形材だけでも30型以上を製作しました。

3.塗装や付属金物にもこだわる

障子や枠の塗装仕上げも苦労した点です。創建当時のサッシは人が手作業で刷毛塗りして仕上げていました。
そのテクスチュアを忠実に再現するために、刷毛の目が出るように人の手で塗ってから焼付塗装を施しています。
手作業なので、1つ1つがオリジナルです。塗料は環境に配慮して、ノンフロンタイプのフッ素樹脂塗料を採用しています。
膜厚管理などは厳重に行い、最新のスペックで昔ながらの質感を再現しました。 サッシに付属するクレセントなどの金物も復原しました。復原する窓はFIX窓なので機能的には不要なのですが同じ真鍮の素材を使って忠実にディテールを再現しました。
金物本体だけでなく、それを固定するビスも真鍮で復原しました。このことで、外観だけでなく、内部から見える部分も創建当時の意匠を忠実に再現しました。 創建当時と今ではサッシの取付方法も変わっていますが現代の工法で当時の納まりの見え方を再現しています。
納まり上でいうと、タイル取り合い部分も重要なポイントでした。開口寸法がタイル割付寸法の影響を受けるので製作前に元請、他業種と情報交換を行い細かい寸法を調整しました。現存していた建物は、創建当時の状態のままではなく、所々改修されていました。サッシも一部は既に改修されていました。当時の図面や写真と比較しながら、フィルムを巻き戻すように原設計を突き詰めていくことで、当時のサッシの形や納まりを復原することができました。

4.既存タイルについての検証

外壁タイルの再現について、そのプロセスを紹介します。設計事務所からLIXILリニューアルに外壁タイルについて相談があったのは2007年のことです。
「外壁タイルの再利用の可能性について検証を行いたい」ということでした。まず、現状の外壁タイルのうち、創建時のタイルが含まれている数量を調査しました。 同時に既存タイルを再利用可能な状態で外壁から採取できるかどうか、既存タイルの汚れを除去して創建時の色に戻せるかどうかなども探りました。
さまざまな検討の結果、多くの部分は創建当時のタイルを再現して、張り替えることになりました。 再現するにあたって、外壁から採取したタイルをよく調べてみました。基本となる大きさは227.5㎜×61㎜だと推察されました。
見た目の点では白いボディに細かな黒い斑点があり、ピン角であることが特徴的でした。これらを忠実に再現するために、サンプルづくりに取り組みました。

5.再現に向けたさまざまな検討

既存タイルはプレスによる乾式製法でつくられていたので、新たにつくるタイルも同じ乾式製法で製作することにしました。特徴である白いボディを再現するにあたっては、まず外壁から創建当時のタイルを採取し、洗浄することで創建当時の白色のニュアンスを探りました。その上でその白色を表現するための原材料を探すことからはじめました。
ボディの白色には微妙な色幅があったので、その色幅を再現するために試作を何度か重ねました。試作したタイルを1㎡角ほどのパネルに張り込んで、微妙な色調の検討を重ねました。
最終的には4種類の白色を混ぜて張ることになりました。また、タイルの特徴の1つである表面にある黒い斑点は、白い素地に沈み込んでいるような見え方をしていたので、これを再現するために原料と成形方法を調整しました。同様に既存のタイルには微妙な光沢があったので、釉薬の掛け方などを調整して光沢を再現しました。 このほかタイルの特徴として、一体成形の役物が80種類以上と非常に多いことが挙げられます。それらを残さず再現するために、既存タイルをもとにすべての役物について金型を作成しました。
また、成形方法も工夫しながら対応しました。タイルの施工方法としては、レール工法が採用されています。これは、躯体にアルミのレールを取り付け、そのレールにタイルの裏足を引っ掛けるように取り付けていく施工方法です。この工法のための専用の裏足の形状を検討し、その裏足を成形するための製造方法についても検討しました。 こうした試行錯誤の結果、創建時のタイルの姿を再現することができました。

6.復原で技術や思いも受け継ぐ

こうした関係者の尽力により、創建時の外観が見事に復原されました。歴史的建造物の復原プロジェクトにおいては、検討過程でさまざまな発見があり、当時の建築技術を学び取る貴重な機会にもなっています。そうした点を踏まえると、復原は建物を受け継ぐだけでなく、技術やその建物に関わった人たちの思いを受け継ぐ重要な仕事といえそうです

JP タワー
JP タワー
JP タワー

LIXILリニューアル商材採用部位 窓

<特長>
1階の9カ所は、創建時のサッシュバーを修理・矯正し、新たに再現した枠に組み込みました。またその他の再現部分も、創建時の上げ下げ窓の枠・障子のディテールを忠実に再現しました。仕上げは刷け塗りし、フッ素樹脂焼付塗装を施しました。

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LIXILグループ商材 タイル

<特長>
創建時の白く、美しい外観を忠実に復すため、80種類を超える役物の形状はもとより、タイルの色、班、釉薬の表情からそのばらつきに至るまで、忠実に再現しました。外装特注施釉タイルは、光沢感を透明釉で表現しています。また、郵便局の室内の床についても、創建時に採用されていた無釉薬モザイクタイルを忠実に再現しました。

<概要>
・外装タイル二丁掛特注品:4,430 m² ※役物は一部他社製
・床モザイクタイル特注品:650 m²

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